「狙いはあくまで最先端」…半導体装置に経営資源集中、アルバックは飛躍なるか
研究開発→量産スムーズに
アルバックは半導体製造装置に経営資源を集中させている。2010年代はフラットパネルディスプレー(FPD)製造装置で業績を伸ばしたが、近年は半導体分野に戦略をシフト。11日から開催予定の半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2024」では研究開発から量産適応を迅速に対応する新製品を披露し、次なる柱に育てる。半導体関連の市場規模が30年に1兆ドルに成長する中、新製品投入で飛躍を目指す。
「半導体が導く、まだ見ぬ世界へともに」。アルバックはセミコン・ジャパン2024で、このキャッチフレーズを掲げる。近藤智保上席執行役員は「これまでFPDが有名だったが、今回は半導体を強く押し出す」と狙いを話す。
初披露するのが、主力モデルである成膜装置のアップデートモデル「ENTRON―EXX」だ。大幅なアップデートは05年以来となる。特徴は装置の拡張性だ。成膜方法などに合わせて、モジュールを入れ替えたり、追加したりして、顧客ニーズに応える。
半導体メーカーは研究開発で試行錯誤をした上で量産ラインに移行する。その際、研究開発で必要な装置の改造などを同装置はモジュールの変更で対応。顧客の要望に応えつつ、対応スピードを早める。また、研究開発で使った同装置はそのまま量産ラインに適応できるため、量産適応までのスピードが早まる。合わせてデータ収集量を格段に増やす。今後の人工知能(AI)を使った装置の保守や改善のニーズに備える。近藤上席執行役員は「競合に対して、我々はスループットに加え開発に素早く対応できる。こうしたトータルのスピードで勝負する」と意気込む。
今後については「我々の狙いはあくまで最先端」(近藤上席執行役員)。これまで先端半導体で使われるメタルハードマスク向けのスパッタリング技術などで、最先端に参入してきた。前工程に加え、AI向けに需要が伸びるとされる先進後工程「アドバンスドパッケージ」向けにも装置展開を狙う。
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