成田空港、4-9月期の国際貨物好調…中計達成へのカギは?
設備投資・老朽化対策両立急ぐ
成田国際空港(NAA)の4―9月期の国際航空貨物量が前年同期比6・5%増の97万トンと好調だ。10月も前年同月比7%増と、4月以降7カ月連続でプラスとなり、回復基調が鮮明となっている。NAAは第8貨物上屋の整備やトラックドックマネジメントシステム導入など、東アジアのハブとするための投資を進めており、貨物を収益拡大の柱に掲げる。だが、貨物施設のメンテナンスコストも年々増加しており、収益化には課題も残る。(高屋優理)
NAAは2022年に策定した24年度を最終年度とする中期経営計画で、国際航空貨物量の目標を年間240万トンとしていた。だが、5月に海上輸送の混乱に伴う航空貨物特需の正常化などを踏まえ、目標を下方修正。現状、50万トン減の190万トンを計画している。
成田空港の4―9月期の航空機発着回数はコロナ禍の収束で順調に回復し、前年同期比16%増の12万2000回となった。これに伴い、貨物量も伸びてはいるものの、22年の中計策定時点の想定は下回る水準。田村明比古社長は「航空需要はコロナ前の水準には戻っておらず、羽田への移管もある」と、成田を取り巻く厳しい経営環境を指摘する。
NAAが200億円を投じて10月に稼働した第8貨物上屋は、全日本空輸(ANA)が単独で運用。ANAはこれまで貨物地区の6カ所に分散していた貨物上屋を、第8貨物上屋と隣接する第7貨物上屋に集約した。これにより、日本を経由する3国間貨物の接続時間が5時間から3時間に短縮。上屋内では無人搬送車(AGV)を60台導入するなど搬送作業を自動化し、オペレーションの効率化や省人化も図る。ANAは取扱貨物量を従来比25%増の年間50万トンに引き上げたい考えで、こうした取り組みはNAAの戦略に沿ったものだ。
NAAでは第8貨物上屋に加え、11月からトラックの混雑緩和を目的に、スマートフォンで貨物の受け渡し時間を予約できる「トラックドックマネジメントシステム」も導入。貨物設備の高度化に向けた投資を加速している。
25年3月期の業績見通しでは、第8貨物上屋の供用開始などで施設貸付事業の売上高を同5・1%増の298億円とするなど投資の成果を見込む。だが営業利益は施設の老朽化対策などで同12・0%減の97億円と減益となる見込み。田村社長は「さらなる機能強化や老朽化対策で大規模な投資していくフェーズでもある」と現状を踏まえながら、「収入を上げる最大限の努力したい」と、さらなる貨物関連の取り組み強化に意欲を示す。