高出力マイクロ波照射で無力化…防衛省、“迎撃ドローン”研究
防衛省は小型・軽量化した高出力マイクロ波(HPM)発生装置を飛行ロボット(ドローン)に搭載し、飛来するドローンを照射して無力化させる技術研究を始めた。スウォームと呼ばれるドローンを使った集団攻撃で数百機のドローンが一度に飛来しても、新技術を使って対応できるようにする。医療用マイクロ波発生装置を農業用ドローンに搭載して実験し、2028年度の実証開始を目指す。
防衛省は高出力マイクロ波研究を14年度から行っており、すでに出力10キロワットでドローンを撃墜する実験は実施済み。陸上基地や戦闘車両にHPM発生装置を搭載する技術もすでに開発済みだ。これらを併せたHPM発生装置をドローンに搭載し、襲来するドローンに対応する技術研究を進める。
ドローンは小型で見つけにくく、レーダー電波でも発見が困難なため、気付いた時には味方基地の上空にかなり接近している事態が想定される。また、森林や建物の影などに隠れて飛行し、至近距離から攻撃する事態も想定される。
そこで、ドローン自体にHPM発生装置を搭載し、必要に応じて攻撃することで隠密に接近するドローンを上空から追いかけて接近し、照射してすばやく撃墜する。「ドローンがドローンに近づいて撃つため、ピンポイントの攻撃ができる。照射エネルギーも少なくて済むため、無駄な照射がなくなる」(防衛装備庁)利点もある。
高出力マイクロ波を妨害電波として飛来するドローンの至近距離から発生させて、電子系統を破壊し無力化するため、周囲に与える影響は限定的だ。このため味方同士の通信に及ぼす影響は最小限で済むとされる。
日刊工業新聞 2024年12月04日