ジャパンディスプレイ（ＪＤＩ）は３日、台湾の大手液晶パネルメーカーである群創光電（イノラックス）と次世代有機ＥＬ技術で戦略提携を結んだと発表した。ＪＤＩの有機ＥＬ「ｅＬＥＡＰ（イーリープ）」技術を用いた車載向けディスプレーなどの販売拡大を目指す。２０２７年に同社の茂原工場（千葉県茂原市）で量産を計画しており、経営立て直しにつなげていきたい考えだ。

戦略提携の第１弾として、イーリープ技術を用いた車載ディスプレーについて、イノラックスの自動車部品子会社であるカーＵＸテクノロジー（シンガポール）と組み、市場を開拓する。

イーリープは輝度や寿命に優れている。さらに、多結晶酸化物半導体を用いた独自の回路基板（バックプレーン）技術と組み合わせることで、車載ディスプレーの性能を向上させた。ＪＤＩの既存の３２型車載ディスプレーとの比較では、消費電力を７６％削減しつつ、解像度が１２％、輝度が１５％それぞれ向上しており、コントラストを６９０倍に改善した。

３日、都内で会見したＪＤＩのスコット・キャロン会長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）は「３社で世界中の顧客に届け、イーリープのエコシステム（生態系）を構築したい」と意気込んだ。イノラックスの洪進揚会長兼ＣＥＯは「市場の反応を見ながら、将来的な協業を楽しみにしている」と述べ、イーリープ以外での協業拡大も検討していることを示唆した。

ＪＤＩはイーリープを経営再建の切り札と位置付け、本格的な量産に向けて中国の安徽省蕪湖市と交渉していたが、１０月に計画を撤回した。