半導体工場のサイバー対策強化…経産省、補助金に要件追加検討
経済産業省は半導体メーカーの国内投資に対する補助金に、サイバーセキュリティー対策を要件に加える検討に入った。2025年度中に半導体産業向けのガイドライン(指針)を策定し、半導体デバイス製造におけるセキュリティー確保の基準や企業が取るべき対策を整理する。策定後に補助金など施策の要件とひも付けることで実効性を持たせる。経済安全保障上の重要物資である半導体の安定供給確保に向けた対策を促す。
ガイドラインは有識者会議と、デバイス・製造装置メーカーが参画する作業部会で議論し、取りまとめる。サイバー対策に関するものでは、半導体業界の国際団体SEMIが定める規格や、経産省が22年に策定した工場セキュリティーガイドラインなどが公表されているが、半導体製造工場の対策に特化したものはまだないという。
デバイスや製造装置、部素材メーカーなどを対象に想定する。工場における生産活動に加え、知的財産や半導体設計情報などのセキュリティー対策強化も求める。
18年には台湾積体電路製造(TSMC)の主力工場内のネットワーク機器が身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)に感染。3日間の生産停止を余儀なくされ最大190億円の被害を受けた。
政府は総合経済対策で30年度までに10兆円以上の公的支援を行う方針を盛り込むなど、半導体産業の競争力強化を目指している。国内への投資を後押しする一方、生産停止によるサプライチェーン(供給網)寸断などの影響深刻化が懸念されており、企業に対策強化を促していく。
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日刊工業新聞 2024年11月28日