ニュースイッチ

国内外12社とデータ連携…富士通、供給網脱炭素プロジェクトの全容

製品PCF可視化・削減

富士通は国内外のサプライヤー12社と共同で、自社のサプライチェーン(供給網)で生じる製品カーボンフットプリント(PCF)の可視化と削減を目指すプロジェクトに乗り出した。実データに基づく二酸化炭素(CO2)排出量の算定とグローバル標準の企業間データ連携を利用し、製品が廃棄されるまでの全排出量であるPCFを見える化する。他産業にも展開し、中堅・中小企業を含めサプライチェーン全体で実効性のある脱炭素化に貢献する。

PCFの算定とデータ連携は、富士通のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)「ESGマネージメント・プラットフォーム」を活用する。社会課題を業種横断で解決する同社の事業モデル「ユーバンス」の目玉として位置付けており、さまざまな産業のサプライチェーン全体のCO2排出削減を支援する。

PCF算定方式についてはグローバル標準である製品ベースの算定方式に加え、新たに企業の組織単位(組織ベース)での算定方式にも対応する。企業間データ連携に基づき、両方式を併用する社会実装を世界に先駆けて成功した。

参加する12社は古河電気工業、仏シュナイダーエレクトリック、台湾マイタックホールディングス(HD)、台湾アクトンテクノロジィ、加賀FEI(横浜市港北区)、伯東、ネクスティエレクトロニクス(東京都港区)、米ルーメンタム・HDなど。広範なグローバル標準に基づき、実データを活用したPCF算定とCO2排出量のデータ連携を実現する。

組織ベースのPCF算定は製品ベースに比べてサプライヤー側で浸透しており、大手のみならず、中堅・中小企業の負担を考慮した実効性のある取り組みを支援できる。

製品ベースのPCF算定ではグローバル標準の計算方式に基づき、製品別にライフサイクル全体で排出される温室効果ガス(GHG)をCO2に換算する。

組織ベースは企業のGHG排出量を把握する三つの視点「スコープ1・2・3」に基づくデータを納入先別に納品額などで配分する方式であり、電子情報技術産業協会(JEITA)の「Green×DigitalコンソーシアムCO2可視化フレームワーク」に対応している。富士通は2040年までに目指す指針「ネットゼロ(温暖化ガス実質排出ゼロ)」に向かう計算方法として取り組んでいる。

同社はPCF算定や企業間データ連携の国内外のルール策定に中核メンバーとして参画してきた実績がある。その知見を踏まえ、自社における実践的なプロジェクトと他産業へのソリューション提供を進める方針。

日刊工業新聞 2024年11月15日

編集部のおすすめ