ニュースイッチ

不採算案件増加で資金繰り悪化…ビルメンテ会社、倒産に至った事業運営の実態

ビルメンテナンス事業を手がけていたグローバルステージは、2024年8月28日に東京地裁から手続き開始決定を受けた。

当社は2009年に、前社長の下、飲食店向けのコンサルティング会社として設立されたが、現代表が就任後、ビルメンテナンス業に業態転換した。近年は、首都圏を主要エリアとして全国各地に拠点を置いて事業を拡大、23年9月期の年間収入は約47億900万円を計上していた。振り返れば、同社の転換点は18年だった。当時の年間収入は約3億円だったが、大阪で同じくビルメンテナンスを手がけるサンメンテナンス(現:株SMC)が民事再生となったことで、同社の東京以北のビルメンテナンス事業を引き継ぎ、事業を拡大。コロナ禍において一部案件の延期や縮小もあったが、その後、得意先である医療機関が感染者を受け入れ、病棟の清掃事業を本格化させたことで売り上げを拡大させた。

事業承継後、順調に売り上げを伸ばしていたが、利益確保には手を焼いており、接待交際費などを削減して利益を確保しているかに思われていた。しかし、実態は違ったようだ。コロナ禍以前まで順調に推移していた売り上げは、感染拡大により減少。この状況を改善すべく、全省庁統一資格の昇級を目標とし、付与点数が上がる売り上げ50億円を目指した。結果、急激に入札の参加を増やして落札もしたが、想定の人数で対応できず不採算案件が増加。22年9月期は実質的に赤字に転落していた。そして、翌期も状況は変わらず、資金繰りは悪化し新規借り入れで補填する状況が続いていた。経営改善については引き続き“等級引き上げ”を目指し、売上の拡大に注力。実際に50億円に迫る水準まで到達していたが、受注が増えるほど必要な運転資金も増加し資金が枯渇。24年6月には支払遅延を発生させるなか、メーンバンクなどに支援を要請したが奏功せず、7月30日に事業を停止した。(帝国データバンク情報統括部)


【関連記事】 倒産寸前企業が頼りにする知られざる「育成所」
日刊工業新聞 2024年11月21日

編集部のおすすめ