総合塗料3社…通期改善へ、厳しさ増す市場で求められること
海外戦略テコ入れ必要
総合塗料3社の2025年3月期(1社は24年12月期)連結業績予想は、M&A(合併・買収)による上乗せや原材料価格の安定・価格転嫁から、上向くか改善する見通しだ。ただ中国・欧州経済の低迷や顧客の日系自動車業界の生産減で、日本ペイントホールディングス(HD)と関西ペイントは予想を据え置いた。市場環境の悪化をはね返すには、現地でのブランド浸透や日系外の海外顧客開拓などが求められそうだ。
日本ペイントHDはコロナ禍後にアジアや欧州で買収した企業が売上高と利益の押し上げに順調に寄与し、販売量も増加。強みの建築塗料はおおむね値上げが浸透した。24年12月期の連結業績予想は据え置いたものの「今の為替水準が続けば売上高2%程度、営業利益0・5―1%程度の上振れを見込む」(若月雄一郎共同社長)。
だが、市場は厳しさを増す。主力の中国は不動産市場の低迷で一部値下げも実施し、24年7―9月期は営業利益が前年同期比で減益に転じた。欧州もトルコやフランスを中心に悪化が続く。若月共同社長は「市場環境は想定より厳しい」と受け止める。中国では大型建設案件が不振で利益率も低下。このため消費者向けに注力し、ブランド浸透によるテコ入れを図る考えだ。
関西ペイントの毛利訓士社長も「7月以降の事業環境は厳しい。今後も続くと想定している」と身構える。24年4―9月期は主力の自動車向けが認証不正や台風による生産停止の影響を受け、中国と一部アジアでも顧客の生産減少が響いた。ただ国内で値上げや船舶向けが寄与し、アフリカも東部で販売量が伸長。3月に買収した欧州企業の連結寄与も始まり、売上高と営業利益は前年同期比で増収増益を維持した。
25年3月期の通期予想は当初見通しを維持するが、前期に多額の土地と有価証券の売却益を計上した反動で、当期利益の減少幅は大きくなる。毛利社長は「アジアで拡大する中国自動車メーカーの市場にも食い込む。業績予想達成のため最善を尽くす」と強調する。
大日本塗料は25年3月期連結業績予想の売上高を据え置くが、各利益段階を上方修正した。国内の塗料と照明機器事業の高付加価値品拡販や、値上げなどが奏功する。
24年4―9月期は減収で、営業利益と経常利益が減益。国内は24年に公表した塗料の不適切行為による需要減が引き続き影響した。海外は「東南アジアの自動車生産台数減少で自動車部品向け塗料需要が低調だった」(管理本部総務部)と説明する。