キヤノン・セイコーエプソン…OA5社の通期予想、下方修正相次ぐ理由
事務機器(OA)5社の2025年3月期(キヤノンは24年12月期)連結業績予想は全社が増収を見込む一方、営業損益は増益が3社、減益が1社、赤字が1社となる見通しだ。為替が円高に振れたことや欧米の事業環境悪化、中国の景気停滞などが響き、下方修正が相次いだ。オフィスでの印刷需要は底堅いものの大きな伸びはなく、収益性の改善・強化に向けた構造改革を進める企業では各費用の計上が影響する。
キヤノンとセイコーエプソンは円高影響などで通期業績予想を下方修正した。ただ、キヤノンはカメラや半導体露光装置などが堅調に推移する見通し。セイコーエプソンは「欧米や中国でのプロジェクターの需要悪化に加え、厳しい経済環境が続く」(小川恭範社長)。富士フイルムビジネスイノベーション(BI)も、複合機の欧米OEM(相手先ブランド)顧客向けの売り上げ減少などにより通期の売上高と営業利益を下方修正した。
人員削減や事業の選択と集中といった構造改革を進めるコニカミノルタとリコーは、各施策に伴う費用が業績を押し下げる。コニカミノルタは遺伝子検査サービスを手がける米子会社の売却を決めたほか、一部事業の減損リスクの織り込みなどによる一過性費用も反映する。リコーは複合機やプリンターの消耗品などの弱含みに加えて、9月に公表した国内希望退職募集などの関連費用を計上。大山晃社長は「24年は遂行の1年と位置付け、25年度から確実に刈り取る」と説明した。
日刊工業新聞 2024年11月12日