クレカ会員「3ケタ万レベルに」(ドコモ社長)…携帯通信、金融決済で加熱する差別化
還元率向上、顧客囲い込み
携帯通信3社の2024年4―9月期連結決算は、2社が増収営業増益だった。NTTドコモは低料金プラン「irumo(イルモ)」投入の影響もあり営業減益となった。データ容量月30ギガバイト(ギガは10億)の料金プランで競争が激化する一方、各社の金融決済事業は順調な成長を続けている。ドコモが25日にプラチナカードを投入するなど、自社サービスの利用でポイント還元率を高めて自社経済圏に囲い込む金融決済分野での差別化も過熱してきた。(編集委員・水嶋真人)
「3ケタ万レベルに持っていきたい」。NTTドコモの前田義晃社長は新たなクレジットカード「dカードプラチナ」の会員数目標を示す。年会費2万9700円(消費税込み)でドコモ利用料金の最大20%をポイント還元するなど複数の優待施策を用意した。
ドコモの4―9月期の金融決済取扱高は前年同期比13%増の7兆1400億円。ドコモ利用料金の最大10%を還元する「dカードゴールド」の会員数は同7・6%増の1100万となった。「(金融領域で)年間で前年比20%超の増収を目指す」(前田社長)。
KDDIのクレカ「auペイゴールドカード」の会員数も同42%増の138万に増加。auじぶん銀行の預金口座数も同17・2%増の639万に増えた。金融決済取扱高も同27%増の10兆3120億円。高橋誠KDDI社長は「通信とのシナジーで付加価値領域の顧客基盤も順調に拡大している」とする。
ソフトバンクはスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」やクレカ「PayPayカード」の成長もあり25年3月期連結業績予想の売上高を従来予想比1500億円、営業利益を同500億円上方修正した。PayPayの連結決済取扱高は同22%増の7兆2000億円。登録者は6500万人を超えた。宮川潤一ソフトバンク社長は「(PayPayのポイント付与率が増える携帯料金プラン)ペイトクの魅力を高めたい」と述べた。