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「太陽光」大量導入…福島4市町、5年でゼロカーボンなるか

「太陽光」大量導入…福島4市町、5年でゼロカーボンなるか

会津電力によるソーラーシェアリングの実証

進む営農型、再生エネ地産地消

福島県の喜多方市、広野町、浪江町、南相馬市がオンサイト、オフサイトのPPA(電力販売契約)による太陽光発電導入を本格化している。4市町は環境省による地域の脱炭素化と再生可能エネルギー導入を推進する「重点対策加速化事業」の対象地域に採択されており、5年間の事業でゼロカーボンを目指す。(いわき・駒橋徐)

喜多方市は2023年度に事業を開始。木質バイオマスボイラによるHPA(熱エネルギー版PPA)で市内の酒造会社にボイラを設置し、近く稼働する。太陽光発電は庁舎へのオンサイトPPAを皮切りに、会津電力(喜多方市)が出力375キロワットのソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の建設に入る見通し。

同市小国地域の農地に太陽光発電を設置して発電とソバ栽培を併用する。ソーラーシェアリングのオフサイトPPAでは、3年間に同1400キロワット程度、5年間に同2900キロワットの導入を見込む。

広野町は24年度からの5年間で現在の電力消費の80%を太陽光発電で賄う計画。再生エネ導入量は約1350キロワットを見込み、このうち太陽光発電の導入は民間が約90キロワット、公共施設が13カ所で約1200キロワットを見込む。地域マイクログリッド設備を月内に着工し、2年で完成予定だ。スマートソーラー(東京都千代田区)グループが新電力会社を設立し、電気の発送電を管理する。

浪江町は駅周辺の復興再生拠点整備で太陽光発電、蓄電池、定置型燃料電池(FC)を導入。同町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)から水素を供給するなどし、先進的な脱炭素社会モデルの構築を目指す。太陽光発電は個人、事業者で合計800キロワット。公共施設は太陽光発電466キロワットと定置型FC70キロワットとなる。

南相馬市は大規模太陽光発電所(メガソーラー)や大型風力発電の導入で、既に市の電力消費量を再生エネ発電量が上回っているが、さらに再生エネの自家消費を目的に重点対策事業に参加。個人、事業者合計で約5000キロワットを見込む。公共施設とソーラーカーポートは合計1620キロワットとなり、自営線を導入したマイクログリッドを3カ所に設置する計画だ。

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日刊工業新聞 2024年11月08日

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