劣化少ない水系プロトン電池、リチウム代替なるか
早稲田大学が開発
早稲田大学の川合航右次席研究員と五十嵐優太大学院生、大久保將史教授らは、劣化の少ない水系プロトン電池を開発した。充放電でプロトン(水素イオン)を出し入れしても体積変化の少ない酸化物を電極に利用する。充放電繰り返し試験では1日当たり0・026%しか容量が低下しなかった。リチウムに依存しない電池の開発につながる。
モリブデン・ニオブ酸化物を負極に利用する。同酸化物は充放電でプロトンを結晶に取り込ませても0・4%しか体積が変化しなかった。結晶中に直線上の空洞があり、イオンの通り道になる。シミュレーション解析では空洞が結晶構造の膨張を吸収して体積変化を抑えていた。
実験では充放電の効率が99・7%。1000回の充放電試験では容量低下は1日当たり0・026%だった。劣化を抑える原理は水系プロトン電池に限らず、全固体電池などにも応用できる。モリブデンが希少なため、汎用元素で代替する研究を進める。
日刊工業新聞 2024年11月04日