デンソー・アイシン…トヨタG主要部品メーカー5社、通期見通し下方修正の背景事情
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社が発表した2025年3月期連結業績予想は、デンソーなど5社が売上高や各利益段階を下方修正した。主要取引先であるトヨタのリコール(無料の回収・修理)や認証不正問題による生産台数減、中国での販売不振などが響いた。一方で電動化製品の拡販や合理化努力が奏功する企業もあった。愛知製鋼は鉄スクラップ価格の値下がりなどを見込み各利益段階を上方修正した。
トヨタの稼働停止や、中国をはじめアジアの販売不振の影響が大きい。デンソーは通期予想の売上高と各利益段階を下方修正。松井靖副社長は中国市場における自動車メーカーの苦戦について「長期化する」とし、ジェイテクトの神谷和幸経営管理本部副本部長も「この状況は続く。対応を検討する」と話した。豊田合成も減産影響は続くとみるが、固定費削減や価格転嫁によるカバーを見込み通期予想は据え置いた。
アイシンはパワートレーン(駆動装置)ユニットの販売減などで24年4―9月期は減収減益で着地。通期予想も下方修正を余儀なくされた。近藤大介執行役員グループ経営戦略本部本部長は「台風などの影響を上期中には挽回できなかった。下期に挽回を計画する」とした。
トヨタ紡織は「保守的にみていた中国以外に日本、米州、アジアの減産も見込むが、収益改善も進めている」(小木曽毅経理財務本部副本部長)ことなどを背景に売上高のみ下方修正し各利益段階は据え置いた。
各社は高付加価値製品の拡大や合理化で「稼ぐ力」を強化する。デンソーは電動化対応製品の収益が向上し高水準の営業利益を確保。松井副社長は「ポートフォリオの変換が順調。収益化できている」と手応えを語る。
豊田自動織機はトヨタ向けのスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の生産が好調なものの、産業車両や自動車向けエンジン、カーエアコン用コンプレッサーの販売が前年同期比微減で推移する。この影響もあり、通期予想の売上高は据え置いたが、各利益段階は下方修正した。ただ、同社とデンソーは通期予想を下方修正したものの、各利益段階は過去最高を達成する見通しだ。
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