超大型タンカーに供給…三井E&SDUが開発した「メタノールエンジン」の性能
三井E&SDU(兵庫県相生市、匠宏之社長)は、メタノールと重油を燃料として使用できる最新鋭の二元燃料(DF)船舶用大型エンジンが、飯野海運などのコンソーシアムが開発中の環境対応型超大型タンカー(VLCC)に採用された。国際海運のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の潮流で新燃料に対応したエンジンの採用が広がる中、三井E&SDUとして初めてメタノールエンジンを供給する見通しになった。
飯野海運、出光タンカー(東京都千代田区)、日本郵船、日本シップヤード(同)の4社が共同研究開発を行う環境対応型VLCCコンセプトの主機関として「DU―WinGD6X82DF―M―1・0」が採用された。
メタノール燃料を効率的に燃焼させる設計により低燃費を実現。さらに国際海事機関(IMO)の窒素酸化物(NOx)排出規制に対応するため、低圧式SCRを装備する。
メタノール燃料は化石燃料と比較して燃焼時の二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、NOx排出が少なく、環境負荷が低い。将来、バイオメタノールやグリーンメタノールの使用により、カーボンニュートラル運航が可能になる。常温で液体状態を保持でき、船内での取り扱いが容易とされる。
三井E&SDUは液化天然ガス(LNG)やメタノールなど新燃料に対応した舶用エンジンの提案を強化している。メタノールエンジンはコンテナ船や自動車運搬船、バラ積み運搬船向けの引き合いが増えているという。
日刊工業新聞 2024年11月01日