宅配便急増で事故増…軽貨物車の安全対策強化、国交省が一手
来春制度改正
国土交通省は電子商取引(EC)市場の拡大で軽貨物自動車による宅配便が急増、同時に重大交通事故も増えていることから2025年4月から安全対策を強化する。軽貨物輸送は小規模・零細企業や個人事業主も多いため、11月から全国10カ所で説明会を開催し取り組みの徹底を図る。16年から22年にかけて軽自動車以外の貨物自動車の保有台数当たりの死亡・重傷事故が2割減る中で、軽貨物による同事故は5割増えており安全対策が緊急課題となっている。
国交省は5月に物流関連2法(物流総合効率化法、貨物自動車運送事業法)や貨物自動車運送事業輸送安全規則を改正し、安全対策強化に向けた制度改正を行った。軽貨物運送事業者には、営業所ごとに安全管理者を選任し2年ごとの講習受講を義務付けた。運送ドライバーを初めて行う人や65歳以上の運転手には、特別な指導と適性診断の受診が必要になる。このほか、業務の開始や終了、休憩の地点や日時、走行した距離、主な経過地などの記録の作成と1年間の保存を義務付ける。事故記録は3年間保存するほか、2人以上の死者が出た事故は24時間以内に、それ以外の重大事故は30日以内に国交相への報告義務を課す。従来の安全対策に25年4月からこれらを加える。
説明会は11月15日の札幌から25年1月まで仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、松山、福岡、那覇で開催、その内容は動画でも公開する。
小口配送が拡大する中、個人が軽貨物運送に新規参入するケースも増えている。ただ個人事業主であっても本人か家族から管理者を専任し、外部機関などを利用した研修や指導内容の理解、企業と同様の記録簿の作成などを求めるとした。
日刊工業新聞 2024年10月22日