設計段階から解体を考慮…竹中工務店、新工法の経済性
竹中工務店は設計・施工段階から、リユース・リサイクル建材の選択や、解体を考慮した設計手法を検討する「サーキュラーデザインビルド」をコンセプトとする初のプロジェクト「大阪避雷針工業神戸営業所=写真」(神戸市兵庫区)を竣工した。減築と増築を同時に行うことで既存躯体(くたい)を活用。積極的な木材利用などにより、同規模の建物を新築した場合と比べて建設時の二酸化炭素(CO2)排出量を約70%削減した。
築35年の既存躯体を調査したところ、今後70年以上の耐用年数が見込めると判断。必要な部分を増築する一方、改修後に使用しない部分は減築した。増築部に対する減築部の位置と重量を緻密に調整することで、既存躯体への不要な耐震補強や新規の基礎工事を行わずに増築している。
増築部の構造部材には、高炉スラグ微粉末を含んだ「ECMコンクリート」やスクラップ材を再利用した電炉鋼材など、環境に配慮した構造材を選定した。同時に、取り外し可能な取り付け方法を用いることで、将来の補修交換、解体にも配慮している。
新築する場合と比べて工期短縮を図れる。また、解体時の騒音・振動を抑えることで周辺地域への影響も低減できた。
日刊工業新聞 2024年10月14日