プラ並み全方向湾曲…山形の木製家具製造会社、木材系新素材に参入
朝日相扶製作所、年内に設備導入
朝日相扶製作所(山形県朝日町、阿部佳孝社長)は、木材系新素材の新事業を立ち上げる。年内に同西川町の既存工場の建屋内に試験設備を導入し、木材系新素材を用いた試作を始める方針。投資額は約6000万円。事業開始から3年以内で新事業を営業黒字化したい考え。
朝日相扶製作所と機械メーカー、大学の3者で共同企業体(JV)を立ち上げ、これまで技術開発してきた。新事業とする木材由来の新素材はプラスチックのように自在に曲げられる全方向湾曲単板木材。例えばスマートフォンのケースは現状プラスチック製が主流だが、今回の技術を活用できれば木材で作れるという。
人工林の循環利用を確立し、現状はプラスチックでしか製造できない形状の製品を木材で作る。二酸化炭素(CO2)削減と売り上げ拡大を目指す。プラスチックで代替された家具材料を木材に戻せれば循環型社会づくりに貢献し、「木材の付加価値を高められる」と阿部社長は見通す。
新素材製造によりCO2の排出量も、通常のプラスチック製造に比べて抑えられるとみる。環境に優しい素材として売り込み、メーカーへの販売や供給を視野に入れる。
同社は1970年に山形県で設立した木製家具製造会社。いすやテーブルなどを手がけており、12年にはOEM(相手先ブランド)で、米ニューヨークの国連本部ビル会議場にいすを260脚納めた。阿部社長は「これまで行ってきた川下の事業だけでなく、新素材を使うことで川上の方でもビジネスで勝負できる」と期待を込める。
日刊工業新聞 2024年10月11日