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「ロボホン」はシャープ再スタートの象徴になるか?

二足歩行ロボット型携帯電話、予約開始。鴻海のアシストは?
 「シャープ再スタートの象徴にしたい」―。シャープは14日、二足歩行ロボット型携帯電話「ロボホン=写真」を5月26日に発売すると発表した。本体価格は19万8000円(消費税抜き)。年間6万台を販売し、半年間で黒字化することを目指す。

 全長19・5センチメートルの人型ロボットで、人工知能(AI)を使った音声対話やプロジェクターによる映像投影などが可能。すべての機能を音声で操作できる。クラウドと連携してソフトウエアを順次進化させ、「単なる道具でなく、愛着を感じるパートナーの存在にする」(長谷川祥典取締役兼専務執行役員)考えだ。

 14日からネット販売の予約受け付けを始めた。家電量販店でも販売し、当面は携帯電話事業者での販売はしない。別途、シャープとクラウドサービスや携帯電話回線などの契約を結ぶことが必要。

 オージス総研(大阪市西区)などと連携して、6月末から順次、専用サービスを始める。子育てを終えた女性などが主要顧客になる見込み。東南アジアなど海外市場展開も視野に入れる。

 シャープ買収を決めた台湾・鴻海精密工業との販売・生産面の連携は、今後議論する。

シャープは「“白物家電のアップル”になることも可能だ」


日刊工業新聞2016年3月31日


早稲田大学准教授・長内厚氏
  鴻海によるシャープ買収の狙いは、商品企画力の獲得だ。鴻海は高い品質で効率よくモノを作るのは得意だが、自社ブランドとなると弱いのが悩み。シャープの企画力を手に入れ、総合電機メーカーとして地位を確立したい考えだろう。技術流出を危惧する声もあるが、鴻海の規模などメリットの方が大きい。やり方次第ではシャープが「白物家電のアップル」になることも可能だ。

 日系家電メーカーはピークの80年代ですら、技術力のみで差がつくテレビやビデオなどを海外展開してきた。韓国、中国勢は音響・映像家電から白物家電まで認知度を高める投資を続け、成功。この買収劇を機に「優れた技術だけが常に利益を生む」という呪縛から逃れることが大切だ。
日刊工業新聞2016年4月15日 電機・電子部品・情報・通信1面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
昨年展示会でロボホンに会った時は、ちょっとご機嫌斜めであまり動いてくれませんでした…。でもプロジェクターを投影してくれたり、呼びかけに反応する様子はかなり和みました。今後、他の機器のインターフェースの役割をするようになれば、より活躍の幅が広がりそうです。

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