「知のゴールドラッシュが来た」…ソフトバンクG・孫会長兼社長が予測するAIの未来
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は3日、人間の英知の1万倍優れた人工超知能(ASI)が進化した「超知性」が10年以内に実現するとの予測を示した。個人専用の人工知能(AI)に加え、家電や自動車など個々の機器に搭載したAIがつながり合い、あらゆる事象の最適解を導き出す。AIの進化に伴う危険性への指摘もあるが、「利用者や社会の幸せを理解し、それが最大の報酬であるように設計することで超知性になる」と述べた。
孫氏は米オープンAIが複雑な推論ができるAI基盤モデル「オープンAI o1(オーワン)」を9月に発表したことに触れ、「(従来の)調べるでは競争に勝てない。人が知らないことを先に(AIに)考えさせて先に問題を解決したら競争に勝てる、知のゴールドラッシュが来た」と分析する。
このAIモデルは思考を連鎖させる手法を採用した。利用者からの指示をこなす数千の「AIエージェント(代理人)」が同時に数十億の推論を行い、最適解を導く。この最適解を生み出した推論を記憶させ続ける強化学習により、「今まで人間が考えられなかった新たな発明が生まれる」(孫氏)。
孫氏は、2―3年以内に個人専用のAIエージェントが実現するとみる。例えば息子が熱を出して看病している間にAIエージェントが開いている病院を探す。こうしたAIエージェントがつながり合う「AツーA(AI間)」の時代になれば、各自の予定表を分析して最適な会議開催日を提案可能になる。
さらに家電や自動車1台ごとにAIエージェントが組み込まれる「AIoT(AIのインターネット)」の時代になれば、利用者の会話内容から体調を判断して空調などの室内環境を最適化できる。
孫氏はこうした進化でAIが自己意識を持ち、メンター(助言者)のような存在になると予測。このため、「人類が破滅しないよう、能力だけでなく思いやりや倫理などの安全弁を思考に組み込むことが重要だ」と指摘した。