世界初「ペロブスカイト太陽電池」セル作製自動化、産総研が装置開発…作業効率10倍以上
産業技術総合研究所の山本晃平主任研究員と江口直人産総研特別研究員、村上拓郎研究チーム長はペロブスカイト太陽電池セルの自動作製装置を開発した。発電層の積層や電極の蒸着などを自動化した。作製効率は従来の10倍以上に向上した。多様な条件で太陽電池セルを試作し耐久性などを評価できる。ペロブスカイト太陽電池の普及に向け、競争力向上につなげる。
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ペロブスカイト太陽電池のセル製造工程を自動化した。基板電極の洗浄や電子輸送層の塗布、ペロブスカイト層、正孔輸送層の積層、裏面電極の蒸着、電池セルの分離を自動で実行する。セル生産の自動化は世界初。自動化で製造プロセス由来のバラつきが減る。
ペロブスカイト太陽電池は技術がまだ成熟しておらず、製造時のバラつきが大きい。発電層の材料を変えると成膜条件などを調整する必要があった。このプロセス最適化の開発工数が大きかったが、自動化で効率的に探索できるようになる。
ペロブスカイト太陽電池はシリコン系太陽電池に比べて軽く、曲げられるためより多様な場所に設置されると見込まれる。耐水性能や耐熱性能など、設置条件ごとに太陽電池の性能を調整して優位性を出すには開発効率を上げる必要があった。村上研究チーム長は「まずは実用化。材料開発を効率化してカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献したい」と抱負を語った。
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日刊工業新聞 2024年10月02日