ヒートポンプ暖房の需要低迷で苦戦続く…三菱電機、英国で440人削減
三菱電機はヒートポンプ暖房を生産する英国スコットランドのリビングストン工場で、全従業員1670人のうち約440人を削減する。欧州におけるヒートポンプ暖房の需要低迷を受けて判断した。大気中の熱を利用して温水を作り、室内を暖めるヒートポンプ暖房は、脱炭素化の推進により欧州で市場が拡大していた。だが、各国の補助金政策の転換を背景に、足元の需要が冷え込み、空調各社の苦戦が続いている。
三菱電機は人員削減の実施時期を明らかにしていない。同じく欧州向けのヒートポンプ暖房を生産するトルコ工場では「削減はない」としている。リビングストン工場はヒートポンプのほか、業務用空調も生産している。
ダイキン工業は2024年4―6月期決算発表で、欧州では業務用大型空調の拡販などで前年並みの売り上げを確保したと説明。一方で「ヒートポンプは需要の低迷が続き、いまだ回復の兆しが見られない」(宮住光太常務執行役員)。パナソニックは「市場の回復状況はまだら模様だ」(小松原宏空質空調社副社長)と指摘する。
ただ、化石燃料ボイラーの使用禁止などで中長期的には市場が拡大する見通しだ。各社は足元の不振に対応しつつ、工場への投資を継続できるかが問われる。
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日刊工業新聞 2024年10月01日