グーグル・アップル…巨大IT企業の規制想定、公取委がスマホ新法の施行準備
有識者会議初会合
6月に公布された新法「スマートフォンソフトウェア競争促進法」の施行に向けて、公正取引委員会が準備に着手した。30日に有識者会議の初会合を開き、規制の詳細や対象事業者の指定基準などを議論した。2025年末の全面施行に向け、同年春をめどに新法の運用に必要な政令や規則などの原案を取りまとめる。
有識者会議は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」で、京都大学大学院の依田高典教授が座長を務める。新法の全面施行を見据え政令や規則、ガイドラインの内容を詰める。新法は米グーグルや米アップルなど巨大IT企業の規制を想定し、基本ソフト(OS)やアプリストアなどの競争を促すことで新規参入や手数料の引き下げなどを狙う。
セキュリティー面などに配慮しながら、適切な競争環境の確保につなげられるかが焦点になる。新法にはセキュリティー確保や青少年保護などに必要な場合、禁止事項の例外が認められる「正当化事由」が盛り込まれており、適用場面などの具体化を目指す。公取委の岩成博夫経済取引局長は「幅広い関係者の知見を踏まえ施行準備を進めていく」と会合の意義を説明した。
新法はアプリストアや決済システムなどでアプリ事業者が不当な差別を受けないようにするほか、指定事業者による不当な情報提供制限などを禁じる。違反事業者には対象分野の国内売上高の20%を課徴金として科す。12月に指定対象となる事業者の規定を先行して施行し、25年12月19日までに全面施行される。
日刊工業新聞 2024年10月01日