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自ら考えて作業効率化するロボット―組み立て作業時間半分に短縮

慶大稲田周平准教授ら開発
自ら考えて作業効率化するロボット―組み立て作業時間半分に短縮

積み木を組み立てる双腕ロボ

 慶応義塾大学理工学部管理工学科の稲田周平准教授らは、自律的に部品組み立てなどの作業効率を改善する双腕ロボットを開発した。五つのパーツを組み立てる積み木実験では、243秒かかっていた作業を121秒に短縮した。ロボットの動作をプログラムで作成するティーチング(教示)を軽減できる。今後、ネジ締めや取り付け確認など複雑な作業に対応させる。

 人間の動作分析(サーブリッグ分析)をロボットに応用する。双腕ロボの両手の動きと部品などの動きから動作の種類を判定するプログラムを開発した。動作単位で改善し、無駄を省く。

 深度カメラで計測した立体画像データを「つかむ」「運ぶ」などの動作に分類する。計測間隔は0・5秒で、連続する動きを一つの動作として判別する。たとえば、片手が作業していない時間があれば、次の作業を割り当てて効率化する。深度カメラの計測データを基に分析するため、ロボットの種類を選ばず応用できる。

 実験では双腕ロボの片手のみにティーチングしたところ、自動で両手を使った作業に改善できた。現在は積み木で設計概念を実証した段階。人間の動作単位17種類のうち5種類を判別できる。ただ人間の動作は「組み立て」で一つの動作単位を構成しているなど、ロボット用に動作を細分化する必要がある。今後複雑な組み立て作業に適応させる。多品種少量生産などの現場に提案していく。



日刊工業新聞2016年4月13日 ロボット面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ロボットがどんどん賢くなっていきます。自分は日々の仕事を改善できているのだろうか、とふと考えてしまいました。人間は今後どう価値を生み出していくべきなのか、真剣に考える必要がありそうです。

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