「特許」国内出願審査、好評6割超も…改善余地のポイント
特許庁調べ
特許庁は特許や意匠、商標の審査に関する2024年度版のユーザー評価調査報告書を取りまとめた。特許審査全般の質に対する評価では、上位評価割合が全体の6割を超えるなど引き続き高い評価を維持。コミュニケーション面などが評価された一方、審査官の審査判断に差がないことを示す「判断の均質性」については、改善に向けて優先的に取り組むべき項目とした。
25日に報告書を公表する。国内出願における特許審査全般の質に対する5段階評価では最上位の「満足」を付けた回答者が全体の11・1%と、前年度から3・9ポイント増加した。「比較的満足」と合わせた上位評価割合は60・9%(前年度比0・2ポイント減)と高水準を維持。中間に当たる「普通」以上の割合は97・4%(同0・8ポイント増)となった。
一方、「判断の均質性」については「普通」以上の割合が85・3%(同0・5ポイント減)と他の評価項目より低い傾向がみられた。特許庁の担当者は「『判断の均質性』は引き続き改善余地がある。引用文献数や通知項目などの状況を審査官単位で可視化するなど、ツールも活用しながら意識改革を促したい」とした。
国際特許(PCT)出願における国際調査などの質に関しては「普通」以上の評価割合が96・8%(前年度比0・3ポイント減)となった。意匠審査全般の質に対する「普通」以上の割合は97・0%(同0・8ポイント増)、商標審査は同94・0%(同0・5ポイント増)だった。
特許庁は前年度の審査の質を把握するためのユーザー評価調査を毎年実施している。24年度は事前に選定した対象者から4―6月に回答を募り、回答率は8割超に上った。特許に関する調査では出願人ら601者から回答を得た。
日刊工業新聞 2024年09月25日