走行経路など変更容易…無線マーカーでロボ誘導、金沢工大がシステム開発
金沢工業大学の奥瀬皓也学部生と中沢実教授らは、超広帯域無線(UWB)で移動ロボットを測位誘導するシステムを開発した。無線マーカーに向かってロボットが自動走行する。教師なし学習でデータからノイズを除き、測位誤差を8・5センチメートルに抑えた。走行経路や移動先を容易に変更できる。作業場所が日々変わる現場に提案していく。
移動ロボットの機体にUWBのタグを三つ配置し、無線測位で機体の向きや位置を計算する。無線測位は電波の反射などがノイズになる。そこで測位データを教師なし学習でクラスタリングした。最もバラつきの小さなクラスターを真値として扱い、ノイズを取り除く。測位誤差は8・5センチメートル。UWBの誤差は20センチメートル以上だった。
教師なし学習の計算負荷は小さく、リアルタイムに測位できる。移動ロボットは画像認識などにグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を積むため、計算負荷は問題にならないと見込む。移動ロボはUWBの無線マーカーに向かって走行し、走りながら2次元レーザーで地図を作る。走行経路に資材が置かれるなど、状況が刻々と変わる現場に対応できる。
UWBの無線マーカーは数センチメートルと小さい。それでもロボットの目的地として明示して置くため周囲の人が運用状況を理解しやすい。また作業場所が変わってもマーカーを置き直せば済むため変更が容易。移動ロボが部品を届けたり、遠隔で監督役とつないで作業手順を教えたりという用途に提案していく。
日刊工業新聞 2024年09月24日