「画期的な取り組みだ」…日化協、化学品リサイクル率確認登録制度の狙い
一般認知度を向上
日本化学工業協会(日化協)は2025年4―6月に、化学品のリサイクル率確認登録制度の正式運用を目指す。このほど、日化協の会員向けに同制度の試験運用を開始。正式運用に向けた制度面の改善などに取り組む。同制度を通じ、リサイクル原料を活用した製品の環境価値について一般消費者の認知度向上などにつなげる。
「同制度は日化協にとって画期的な取り組みだ。リサイクル品の社会への認知や、(リサイクル品に関わる)事業の社会実装をどう後押しするかという発想から生まれた」。日化協の岩田圭一会長(住友化学社長)は、こう力を込める。
同制度はリサイクル率などの登録情報をメーカーに自己申告してもらい、日化協が内容を確認して確認登録証を発行する、というのが大まかな流れ。メーカーは確認登録証を使い、顧客や一般消費者に自社製品の環境価値をアピールできる。ケミカルリサイクル(CR)を含むリサイクル原料を使用した製品の認知度の向上などにつなげる。
まず会員を対象とした試験運用で確認登録の客観性や透明性の担保といった制度の改善点を洗い出すほか、基礎となるデータベースの構築などに取り組む構え。一方で9月時点での申請が4社にとどまるため、正式運用に向けてより広く呼びかける方針だ。
日化協は持続可能な製品の国際的な認証制度の取得が中小企業にとってハードルが高いのが課題とみる。持続可能なサプライチェーン(供給網)の構築には中小企業の環境対応も重要と捉えており、正式運用では会員以外にも対象を広げるため、より活用しやすい制度設計を目指す。
カーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)や循環型社会の実現には、原燃料の転換などで巨額のコストが見込まれる。日化協はリサイクル製品の環境価値について、コスト負担などで消費者に至るまでの社会的な受容性が重要とみている。
【関連記事】 大手化学メーカー、構造改革の行方