「リチウムイオン電池」急速充放電性能2倍…北陸先端大、高密度イオン液体で向上
北陸先端科学技術大学院大学の松見紀佳教授とアマルシ・パトラ大学院生らは、高密度イオン液体を開発し、リチウムイオン電池(LiB)の急速充放電性能を向上させた。高分子とイオン液体分子をイオン結合させて密度を高める。LiBの負極バインダーに用いると既存材料の約2倍の急速充放電性能を確認した。
バイオ高分子のポリフマル酸(PFA)のマイナス側鎖と、プラスのイオン液体成分であるアリルメチルイミダゾリウムヒドロキシドがイオン結合する。PFA上にマイナスイオンが高密度に並ぶため、全体のイオン密度が高くなる。
LiBを試作し評価すると電荷移動界面抵抗が既存材料の6分の1から半分程度に下がった。充放電を750回繰り返しても静電容量は8割を保った。急速充放電性能はPVDF系の約2倍に当たる1グラム当たり85ミリアンペア時。ナトリウムイオン電池を組んで評価するとPVDF系の2倍の放電容量となった。プラスのイオン分子調整で一層の性能向上が期待できる。開発企業を募り実用化を目指す。
日刊工業新聞 2024年09月24日