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「パッソ」「ブーン」兄弟、トヨタグループの小型車戦略占う

ダイハツが企画・開発を手がける
「パッソ」「ブーン」兄弟、トヨタグループの小型車戦略占う

新型「パッソ」(左)「ブーン」(右)と、上田亨ダイハツ上級執行役員

 トヨタ自動車ダイハツ工業は12日、小型車「パッソ」、「ブーン」を6年ぶり全面改良しそれぞれ同日発売したと発表した。両モデルは車体が同じ兄弟車。ダイハツが企画・開発を手がけ、軽自動車で培った軽量化技術を採用して走行性能を向上した。燃費は1リットル当たり28・0キロメートルとガソリン登録車で最高値を達成。トヨタによるダイハツの完全子会社化で、トヨタグループが新たな小型車戦略を描く上で影響を与えるモデルになりそうだ。

 先代のパッソとブーンはトヨタと共同開発した。今回は企画から開発・生産をすべてダイハツが担う。上田亨ダイハツ上級執行役員は「全面的に任されるようになったのはダイハツの技術が認めてもらったから」と話す。

 トヨタから見れば、サイズや価格で制約がある軽自動車や小型車作りに強いダイハツに開発を一任できれば、浮いた経営資源を他に充てられるメリットがある。「両社の協業体制を一歩前進した」(上田氏)成果物が今回のパッソとブーンだ。

 一方で、トヨタは8月にダイハツを完全子会社化すると1月に発表した。完全子会社化によりトヨタグループ内の小型車や新興国戦略をダイハツ主体で進める考え。具体的にトヨタとダイハツで地域や車種をどう棲(す)み分けるかといった細部は協議中だ。
池田勝敏
池田勝敏 Ikeda Toshikatsu 編集局経済部 編集委員
今回のパッソとブーンの開発は完全子会社化が決まる前から進んでおり、上田氏は「(完全子会社という)新たな関係を先取りする車ではない」とあくまで完全子会社化とは切り離した成果物だと話す。だが今回のプロジェクトはトヨタグループの小型車・新興国戦略の細部を協議する上で大いに参考になるだろう。

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