天ぷらを立体的に盛り付ける…AIロボット、外食産業省人化へ
学習データ30分の1に
奈良先端科学技術大学院大学の権裕煥特任助教と松原崇充教授らは、天ぷらの立体的な盛り付けロボットを開発した。見本画像を参考にして人工知能(AI)技術で盛り付け動作を生成する。従来に比べて学習データを30分の1に抑えられた。食品は一つひとつの形が微妙に違い立体的に組み上げるのが難しい。AIロボで対応できると外食産業での省人化につながる。
AI技術の完全畳み込みニューラルネットワーク(FCNN)などを複数組み合わせて盛り付け動作を生成した。食品の把持用のFCNNと配置用のFCNN、二つのFCNNを統合するニューラルネットワークを訓練する。最初に天ぷら一つを皿に載せる動作を25回ずつ、4種で100回繰り返してから、固定されたイモ天などの上にエビ天を載せる動作を100回行うなどと、徐々に自由度を増やして800回分のデータを学習させる。
天ぷらの把持候補点を絞り込むことなどで学習に必要な数を減らした。従来技術は天ぷらの代わりに長方形の積み木で同じ盛り付けを学習させると2万5000回の試行が必要だった。食品は形が変わるため、より試行数が必要になる。少なくとも学習データを30分の1以下に抑えられたことになる。
実験は腐らない食品サンプルを用いた。食品サンプルのない食材に対応するにはデータ数をさらに削減する必要がある。一方で食品ほどバラつきのない工業製品は新技術で対応できると見込まれる。成形炭など積み方や見せ方に付加価値のある分野に提案していく。
【関連記事】 AIでコストの削減を支援する注目の企業
日刊工業新聞 2024年09月19日