熊本・北海道…「基準地価」半導体集積エリアで高い伸び、用地不足が鮮明に
国土交通省が17日発表した2024年の基準地価(都道府県地価調査)によると、全国の全用途平均は前年比1・4%上昇し、3年連続のプラスとなった。このうち工業地は同3・4%と7年連続で上昇した。特に台湾積体電路製造(TSMC)が立地する熊本県エリア、ラピダス(東京都千代田区)が進出する北海道エリアは地価が大幅に上昇。半導体関連産業を中心に産業用地を取得する動きが全国的に強まっており、用地や技術者の不足が鮮明になっている。
全国2万1436地点で7月1日時点の地価動向を調べた。工業地以外では住宅地の全国平均が同0・9%、商業地は同2・4%伸び、いずれも3年連続で上昇した。工業地、住宅地、商業地が全てプラスとなり、上昇幅もコロナ禍前の19年を大きく上回った。三大都市圏や地方圏でも各用途の上昇幅が拡大しており、回復基調が全国に広がってきた。
工業地、住宅地、商業地の全てで高い伸びを示したのは、大手半導体メーカーが進出し集積するエリア。北海道千歳市や熊本県の菊陽町と大津町では、関連企業を含む従業員向けの住宅や工場用地、店舗などの需要が旺盛だ。地価の大幅の上昇が続いており、用地不足も懸念される。
特に産業用地をめぐっては企業立地計画が増加傾向にある半面、分譲可能な用地が減少傾向にある。日本立地センターによると22年の分譲可能用地の面積は、1996年の2万ヘクタール超から半減し約1万ヘクタールとなった。工業地では中長期的に地価の上昇が予想され、国内外からの工場立地に対して投資マインドの減退につながりかねない。
また、電子商取引(EC)の市場拡大に伴う物流施設の需要増も地価上昇のけん引役となっている。千葉県の船橋市、市川市、習志野市といった都心へのアクセスが良好な地域では用地の希少性が高く、上昇幅が大きい。
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