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パリで最も売れた関西発クールジャパンは、工業用部品のアクセサリー!?

近畿経産局が常設店
パリで最も売れた関西発クールジャパンは、工業用部品のアクセサリー!?

近畿経産局がパリで常設展示する「メゾン・ワ」(店内から撮影)

 近畿経済産業局が2015年9月からフランス・パリでスタートしたクールジャパン商品の第1弾の展示が16年3月に終了した。近畿経産局が海外で常設展示スペースを設けたのは今回が初めて。「第1弾としてはまずまずの成果」(関総一郎近畿経産局長)と評価した海外展開支援の取り組みを追った。

 15年5月、近畿経産局は食品以外の関西らしい伝統、文化、技術などが感じられる商品を“関西のクールジャパン商品”としてパリで展示し、テスト販売する事業を立ち上げた。ショールーム運営事業者と連携し、サンタンヌ通りに近いパリ1区のショールーム「メゾン・ワ」の店舗内エリア(約9平方メートル)を活用。月約3万2400円(消費税込み)で6カ月間、展示・販売をショールーム運営事業者に委託した。輸出入手続きや言語面などの支援もあり、出展企業の負担が軽減される。中小企業にはこの間に海外販路開拓で持続可能な仕組みを構築してもらうのが狙いだ。
 
 第1弾は62社の応募から現地ニーズや専門家の意見を参考に蛇の目洋傘、靴下、雑貨など10社を選び、9月からスタートした。

 16年2月末時点での成果は、329点で122万円を売り上げ、4社で地元百貨店やミュージアムショップなどからサンプル提供依頼などの引き合いもあった。現地でワークショップやイベントを2社が企画するなど、出展企業の海外展開の意欲を高める上でも一定の成果を上げた。

 最も売れたのは、トーヨー電子製作所(大阪府枚方市)の工業用部品を精密加工した体長約2・5センチメートルのロボットのアクセサリー「マサノヴァ・アート」だ。20―25ユーロ(約2500―3100円)の製品が約150個売れ、「日本らしい精密さやかわいさが評価された」(田中潤トーヨー電子製作所社長)と喜ぶ。そこで同社は販社の開拓を目的に再度応募、無事選ばれて4月から再挑戦する。

 ヤマヤ(奈良県広陵町)の太さにムラのある糸を使い吸水性や保湿性に優れた柔らかな風合いの靴下「ガラボウソックス」は、クリスマスには通常月の3倍となる約30足が売れた。バイヤーの反応も良く「今後は海外市場を意識した製品作りをしたい」(野村光里ヤマヤ商品部担当)と意気込む。

 海外展開の可否の判断が6カ月である点に賛否はあるが、中小企業には海外を知る貴重な機会だ。4月から第2弾として13社の展示が始まった。何社が海外に新たな扉を開けられるか注目される。
日刊工業新聞2016年4月12日 中小企業・地域経済2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
各地で日本の技術を生かした商品の海外展示会が開催されています。一過性のものに終わらないよう、継続した受注につながることを期待したいです。

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