トンネル施工管理時間を大幅短縮へ…KDDI・清水建設、3D点群データ即時伝送に成功
KDDIと清水建設は2日、米スペースXの低軌道衛星通信サービス「スターリンク」を用い、北海道新幹線の渡島トンネル(北海道八雲町、全長約33キロメートル)建設現場から3次元(3D)点群データをリアルタイム伝送することに成功したと発表した。施工の進捗(しんちょく)や壁面のずれ・亀裂などの異常を、遠隔からリアルタイムで確認可能。建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮できる。
スターリンクを用いたKDDIの通信エリア構築システム「サテライト・モバイル・リンク」を渡島トンネル坑内外で使用。レーザー光を使った高性能センサー「LiDAR(ライダー)」を四足歩行ロボットや飛行ロボット(ドローン)に搭載して3D点群データを撮影し、清水建設のイノベーション創出拠点「温故創新の森NOVARE」(東京都江東区)へ伝送する実証を行った。
KDDI総合研究所が開発した3D点群データのリアルタイムエンコーダー(位置検出器)でデータを圧縮することで、伝送に必要な帯域を約20分の1にした。これにより、従来は遠隔での撮影からデータ確認まで数時間かかっていたが、10秒以内に短縮できたという。
日刊工業新聞 2024年09月03日