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リスクを商機に、三井化学が構築する仕組みの特徴

三井化学はリスクをビジネスチャンスと捉える仕組み作りを本格化する。事業部の担当者からのボトムアップでリスクを検討し、対応することが特徴。12月のリスクマネジメント委員会でもう一段のリスクマネジメントの見直しなどを実施し、取締役会などを通じて予算書に反映させる考えだ。海外拠点の従業員に対するリスクマネジメントの意識醸成も進め、新たなビジネス対応や価値創造に弾みを付ける。

「普段の業務がリスクマネジメントになり、ビジネスチャンスとして捉えるのが自然体になる」。三井化学の市村聡常務執行役員は、取り組みの特徴をこう説明する。各事業部門にリスクマネジメントの担当者を育成。業務の中からリスク項目を挙げて、リスクマネジメント委員会の事務局でとりまとめている。各事業などの役付執行役員は、所管領域のリスクマネジメントオーナーを務める。

各事業部門から挙げられた約240件のリスク項目を事務局で整理した上で、全社の重点リスクとして「事業継続に関するリスク」や「製造・品質に関するリスク」など11件を設定した。今後、12月のリスクマネジメント委員会であらためてリスクに対する見直しなどを検討。経営会議や取締役会を経て、年度予算へと落とし込む流れだ。

一方、今後の改善点も見えている。重要と捉えるのは、人権や水資源など、ステークホルダー(利害関係者)から求められる“外からの視点”をどう組み入れていくか。海外拠点を対象に、リスクマネジメントに関わる人材育成も順次進めていく考えだ。

リスクマネジメントをビジネスチャンスとして捉えることによって、新たな付加価値の創出なども期待する。


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日刊工業新聞 2024年09月03日

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