「スマートビル」普及する。NTTコムが構築支援を拡充
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、デジタル技術を駆使したスマートビル構築の設計段階から完成後の運用までを統合支援する「マスター・システム・インテグレーター(MSI)」事業を拡充する。この一環として2日、デジタルを活用したサステナブル(持続可能)な街づくりを目指す「スマートシティ・デジタル実装コミュニティ」を発足したと発表した。建設・不動産業界の有識者と連携。勉強会や実証を通じてスマートビルの普及につなげる。(編集委員・水嶋真人)
新設したコミュニティには、スマートワールド実現に向けた事業共創に参加する各分野の専門家が「スマートシティ・カタリスト」として参画する。
東京大学大学院情報理工学系研究科の江崎浩教授のほか、竹中工務店情報エンジニアリング本部の粕谷貴司シニアチーフエンジニア、日建設計企画開発部門の中村公洋アソシエイト、日本設計第1環境・設備設計群の佐々木真人副群長、NTTアーバンソリューションズの上野晋一郎執行役員がカタリストに就任。スマートシティ・カタリストに認定されたNTTコムの社員20人も参加する。関連する企業や公的機関にも参加を呼びかける。
勉強会ではカタリストが参加し、ビルにデジタル技術を実装する工程の課題や対策、NTTの次世代光通信基盤「IOWN(アイオン)」などを用いたデジタル活用の高度化に関する検討を行う。
東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とも連携。大型複合ビルやスタジアム、ホテルなどの新築やリニューアルの現場での実証も実施する。NTTコムの塚本広樹スマートシティ推進室長は「2024年度中にホワイトペーパー(白書)の策定を目指す」と述べた。
ビルのスマート化では、企画・構想段階からのデジタル実装検討が難しい課題がある。このため、NTTコムは関連する業界や機関と連携し、海外で先行するMSIを国内で推進する取り組みを開始。6月には2027年完成予定の虎ノ門一丁目東地区再開発事業(東京都港区)でのスマートビル化プロジェクトへの支援を発表していた。