油圧ユニットの使用電力量8割削減…KANAMORI SYSTEM、省エネ自動造型機を開発
KANAMORI SYSTEM(富山県高岡市、金森敬社長)は、油圧ユニットの使用電力量を同社従来機比約8割削減した自動造型機を開発した。10月に受注を始める。駆動方式を従来の油圧式から、電動と油圧を組み合わせたハイブリッド式に変更。電力消費の大きな要因となっていた油圧ユニットを小型化したことで、使用電力量を抑えた。価格は個別見積もり。生型(砂型)造型機に電動式を導入したのは同社が初めてという。
開発した自動造型機「KDE」は、上下から圧力を加えて砂型を造型する装置。従来機は駆動部に油圧を採用しており、油圧ポンプなどで構成する油圧ユニットで大きな電力を消費していた。このためKANAMORI SYSTEMは、サーボモーターを用いた電動機を開発することを決めた。
鋳型の材料となる砂は水や粘結剤を調合して混練するが、顧客によって配合が異なり砂の性質が違う上、時間の経過で特性が変化する。このため、加圧の量を砂の変化に合わせて細かく制御する必要があった。
ただ、電動では微細な制御が難しかった。そこで電動と油圧を組み合わせる方式を考案。電動をメーン駆動にするとともに、加圧の力を複雑に制御する補助駆動を油圧が担う方式を実現した。油圧を補助的な役割としたことで、小型の油圧ユニットを使えるようにした。
従来の油圧のみの造型機に比べ、作動油の量を約4分の1、高圧配管数を3分の1にそれぞれ削減。省エネルギーに加え、作動油の交換や配管の維持管理といったランニングコストの低減にもつながる。脱炭素とコスト削減のメリットの両面を訴求し拡販する。
同機はグループ会社でアルミニウム鋳造を手がける金森メタル(富山県砺波市)に据え付け中で、10月の稼働開始を予定。実運用のモデル工場として顧客への公開も計画する。