ニュースイッチ

EV電池の熱暴走抑える…住友ベークライト、高耐火性の樹脂成形材開発

EV電池の熱暴走抑える…住友ベークライト、高耐火性の樹脂成形材開発

住友ベークライトが独フラウンホーファー研究機構との共同プロジェクトで作ったEVバッテリーモジュール

住友ベークライトは電気自動車(EV)向けに、耐火性に優れたフェノール樹脂成形材料「PM―5820」を開発した。垂直燃焼性試験用の標準バーナーより強い2・2キロワットの火炎を10分間サンプルに接したところ、材料の変形や灰化進行を大きく抑制した。EVバッテリーで熱暴走の進みを遅らせる効果が期待できるという。

材料の下から火炎を当てる試験方法「難燃性UL94V」で使う0・05キロワットのバーナーと比べて40倍以上も強い火力にさらした。縦120ミリ×120ミリ×厚み1ミリメートルのサンプルに火炎は貫通せず、材料の裏側の灰化も抑制できた。

同社は同様の材料を「PM―5800」シリーズとして順次製品化しており、採用が広がっている。射出成形で薄肉にしやすく、熱可逆性樹脂から置き換えると耐火性を持つ複雑形状のプラスチック部品を作れる。EVバッテリーの省スペース化や安全性向上につなげられるという。

EVバッテリーは高容量化で航続距離の延長や充電時間の短縮が進む。一方、熱暴走による制御不能や爆発などの危険性もある。


【関連記事】 EVでも成長を目指すオイルシールメーカーの圧倒的強さ
日刊工業新聞 2024年08月08日

編集部のおすすめ