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スペースXに丸善機械が納入、「中古大型立旋盤」が評価されたポイント

スペースXに丸善機械が納入、「中古大型立旋盤」が評価されたポイント

スペースXに納入する大型立旋盤「TMD―40」

丸善機械(東京都墨田区、桑内清啓社長)は、米起業家のイーロン・マスク氏が率いる米スペースX(カリフォルニア州)に日本製の中古大型工作機械を納入する。米国の専門商社を通じて受注した。受注額は非公表。スペースXが日本製中古機械を導入するのは初めてとみられる。丸善機械によると、新品に比べて納期・価格面で優れているのに加え、中古機械を蘇らせる高い技術力が評価されたという。

スペースXに納入するのは、オーエム製作所(大阪市淀川区)製の大型立旋盤「TMD―40」。テーブル径は4メートルで、機械の横幅は13メートル、高さは9メートル、重量は100トン。用途は明らかでないが、スペースXが運用中の2段式ロケット「ファルコン9」関連の加工で使われるとみられる。

スペースXは2024年に100回以上のロケット打ち上げを目指しており、ロケットの量産体制の確立が急務だ。新品の工作機械は納期が1年近くかかるのに対し、中古なら数カ月と短期間で導入できる強みがある。

同旋盤は現在、丸善機械の展示場「ネクスト東京マシンテック」(埼玉県加須市)に設置。8月に日本から船便で輸送し、9月に米西海岸に到着する予定。現地工場に据え付けた上で、年内に稼働させる計画だ。

スペースXはロケット・宇宙船の製造や、打ち上げ輸送サービスを提供する宇宙開発会社。民間企業初の有人宇宙船を国際宇宙ステーション(ISS)に到達させたほか、商用ロケットの再利用を実現し、通常の使い捨てロケットに比べてコスト競争力は高い。23年にはファルコン9を91回打ち上げ、すべて成功させた。

丸善機械は1960年の創業で、中古・新品の工作機械を販売する。関東6カ所に計1万2000平方メートルの展示場・倉庫を持ち、豊富な在庫を抱える。

日刊工業新聞 2024年08月06日

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