ニュースイッチ

太陽電池の封止材、生産能力2倍に…大日本印刷の勝算

太陽電池の封止材、生産能力2倍に…大日本印刷の勝算

設備を増強する泉崎工場

大日本印刷(DNP)は太陽電池の電極やセルなどを保護する封止材の生産能力を2025年度に23年度比で2倍に高める。泉崎工場(福島県泉崎村)の設備を増強し、25年内に稼働を予定する。投資額は約30億円。世界各国がカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けて太陽光発電量の拡大に取り組む中で、高まる太陽電池の需要に対応する。太陽電池関連部材事業で27年度に年間200億円の売り上げを目指す。

太陽電池用封止材は太陽電池の内部の電極やセルを保護し、湿気や塵、ホコリ、紫外線などの外部環境から損傷を防ぐシート。DNPの封止材は発電効率の高い太陽電池向けオレフィン系樹脂を採用しており、バリアー性の高さや長期信頼性が特徴。オレフィンは焼却した際に有害なガスがほぼ発生しない環境配慮材料でもある。主に欧米の太陽光パネルメーカーに提供する。

日本国内の太陽光パネルメーカーがコストなどの課題により製造から撤退する中で、DNPは高品質さを強みに封止材やバックシートなどの太陽電池部材の提供先を欧米メーカーにシフトしてきた。同方針が奏功し、24年度の太陽電池関連部材事業の売上高は21年度比で2倍を見込む。

米国ではインフレ抑制法(IRA)により太陽光パネルの設置が加速しているほか、セーフガード(緊急輸入制限)の強化により中国品の競争力が低下している。欧州連合(EU)も30年までに太陽光発電で6億キロワットの新規導入を目指すなど、太陽光パネルの需要が高まっている。


【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社
日刊工業新聞 2024年08月06日

編集部のおすすめ