好調HV、需要1.5倍…トヨタの4ー6月期は過去最高
トヨタ自動車が1日発表した2024年4―6月期連結決算(国際会計基準)は、4―6月期として過去最高の業績を更新した。国内の認証問題や長期のリコール(無料の回収・修理)により、一部車種の生産は低迷したが、増収増益を達成した。好業績を支えるのはハイブリッド車(HV)。全世界で販売が好調に推移し、平均で前年同期比1・5倍前後の需要がある。確かな商品力を軸に順風と逆風が入り乱れる中を突き進む。(名古屋・川口拓洋)
24年4―6月期のトヨタと高級車ブランド「レクサス」を含めた販売台数は、前年同期比1・9%減の249万1000台。このうちHVや電気自動車(EV)を含む電動車は107万5000台で、全体の43・2%を占めた。
特にHVの需要が好調。地域別では北米が同50%増、欧州が同約15%増、中国が同25%増、アジアが同60%増という。山本正裕経理本部長は「顧客からの多くの支持がある」とする。
24年4―6月期の営業利益では、HVの台数増加など営業面の努力で700億円を積み上げた。原価改善の努力分では950億円を上乗せ。為替の円安により3700億円の増益効果があった。資材価格の上昇と仕入れ先への支援を合わせた400億円分のマイナス要因も、これらで打ち消した形だ。
注目すべきは、生産が減少する中でも原価改善の成果が現れた点。山本経理本部長は「現場が改善活動を積み上げた。工場・物流・仕入れ先などの地道な成果」と説明する。
地域別の営業利益で伸び率が大きいのは日本と欧州。日本は同26・3%増の8852億円、欧州は同51・0%増の1238億円だった。一方、大幅な減益となったのが中国。台数減少と販売費の増加が背景にある。新エネルギー車(NEV)の増加に加えて価格競争が激化しており「販売費を多少使ってでも耐え忍ぶ時期。台数を確保する」(山本経理本部長)。
国内では自動車の量産に必要な「型式指定」の申請で不備が発覚。7月末には国土交通省から是正命令が出た。ただ、国内全ての車種で基準適合性が認められ、生産は再開される。通期の影響は軽微で「生産が止まっていたことに対して、仕入れ先や販売店の費用負担に寄り添っていきたい」(同)考えだ。
トヨタは25年3月期に「人への投資」として3800億円を確保し、そのうち仕入れ先支援として3000億円を計上している。通期でさらに500億円を積み増す可能性もあると明らかにした。現場の声に耳を傾け、必要な資金やリソースを投入。現場やサプライチェーン(供給網)が一体となり、次なる成長を目指す。
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