ニュースイッチ

コマツは増益、日立建機は減益…建機大手の4ー6月期、利益で明暗の理由

コマツは増益、日立建機は減益…建機大手の4ー6月期、利益で明暗の理由

日立建機がザンビアの鉱山で実証するフル電動ダンプトラック。鉱山機械の取り組みを強化する

鉱山機械の需要増、稼ぐ力に

コマツ日立建機の建機大手2社の2024年4―6月期連結決算は、全利益段階で前年同期比がコマツは増益、日立建機は減益と明暗が分かれた。両社とも欧州とアジアの建機売り上げが不振だったが、コマツは北米や中南米の伸びで補った。値上げ効果も利益を押し上げる要因となった。ただコマツも増益は為替の円安効果に支えられた面が大きい。世界建機需要が落ち込む中、両社ともに稼ぐ力が試される。(編集委員・嶋田歩)

欧州は金利の高止まりとインフレによる投資の手控え、アジアはインドネシアの新政権樹立までの間の公共事業の予算執行が滞ることなどを理由に、コマツ、日立建機ともに両地域で減収となった。コマツは欧州とアジアの4―6月期需要をそれぞれ同20%減、同12%減だったと分析。ただ売上高の減少率はコマツより日立建機の方が大きかった。

それ以上に差が生じたのは北米と中南米だ。北米の売上高はコマツの2615億円(前年同期比12・5%増)に対し、日立建機は815億円(同5%増)。中南米はコマツが1657億円(同12・8%増)で、日立建機は130億円(同45%増)。中南米は鉱山の関係で単価の高い鉱山ショベルやダンプの比率が大きく、収益貢献が期待できる。

コマツは1970年代に海外初の工場をブラジルに建設するなど中南米事業の歴史が長く、鉱山機械の代理店には直接出資し、一般建機代理店は現地代理店を起用するなど強固な販売体制を確立しており、その成果が出た格好だ。

また部品などの値上げや円安の影響も大きい。コマツは営業利益ベースで222億円の押し上げがあったほか、円安効果も277億円だった。日立建機も値上げと円安で150億円のプラス効果となった。

世界の建機需要は今後も減速傾向が予想され、収益を稼ぐには堅調な市場での拡販と高収益事業の拡大が欠かせない。

日立建機はアフリカとオセアニアの売上収益予想を4月公表から上方修正し、「堅調な鉱山機械需要を取り込む」(塩嶋慶一郎最高財務責任者)。また北米は競争激化で鉱山機械事業が予想外に苦戦したが、「第2四半期以降は挽回を目指す」(同)とする。コマツも「鉱山機械需要はインドネシアで若干減るが、他の地域の好調で取り返せる」(菱沼聖史執行役員)と話す。

値上げは両社とも注力するが、需要減や競争激化が影を落とす。コマツは「建機より鉱山機械の方が値上げは実施しやすい。建機も本体の値上げは厳しいが部品の方で注力する」(堀越健最高財務責任者)考え。

稼げるポイントを早期に発見する力が求められる。


【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞 2024年08月01日

編集部のおすすめ