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次世代メモリー開発、経産省・NEDOがAI対応・データ高速処理を後押し

次世代メモリー開発、経産省・NEDOがAI対応・データ高速処理を後押し

※イメージ

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、速度などでDRAMとNANDの中間の性質を持つ次世代メモリーの製造技術開発を支援する。記憶装置(メモリー)と処理装置(中央演算処理装置〈CPU〉など)の間のデータ転送を効率化する役割を担い、計算処理能力の向上や省電力化への貢献が見込まれる。人工知能(AI)の普及でデータ処理量が増大する中、課題解決のカギとなるメモリーの技術開発を後押しする。

NEDOの助成事業で支援し採択事業者を9月めどに決める。開発期間は原則5年以内。初回ステージゲート審査までに上限180億円、開発費用の2分の1を助成する。読み出し速度が50ナノ(ナノは10億分の1)―1マイクロ秒(マイクロは100万分の1)の間、メモリー密度は1平方ミリメートル当たり0・6ギガビット(ギガは10億)以上。転送速度が毎秒4・8ギガビット以上と、DRAMとNANDの中間的な性能のメモリーを目指す。1ビット当たりの平均消費電力量をDRAMと比べて10%以上低減することも要件とした。

データ処理能力を高めるためには大量データをコンピューターの記憶装置から処理装置に高速で転送する技術が必要になる。ただ、主記憶を担うDRAMと、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)などストレージのデータ転送速度に差があることが、高速化の障壁の一つになっている。次世代メモリーはこの性能差の溝を埋める役割を担う。

近年はAI向けの処理で画像処理半導体(GPU)が普及するなど、高速かつ大量のデータを転送するニーズが高まり、関連技術が注目されている。足元ではメモリー大手各社が技術開発を進めている。コストや信頼性などが担保されれば、DRAMやNANDに次ぐ新市場が形成される可能性もある。


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日刊工業新聞 2024年07月23日

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