日鉄が中国宝鋼と合弁解消、戦略見直しの背景
日本製鉄は23日、中国宝武鋼鉄集団傘下の宝山鋼鉄と自動車用鋼板の合弁事業を解消することで合意したと発表した。現地で自動車向け鋼板を製造する競合企業が増えるなどの事業環境の変化を踏まえ、戦略の見直しを決めた。日鉄は今後、自動車や産業インフラ向けなどで成長が期待できる米国やインド市場の攻略に軸足を置き、競争力の向上と持続的な成長を目指す。
日鉄が宝山鋼鉄との合弁会社として2004年に設立した宝鋼日鉄自動車鋼板(BNA、上海市)から撤退する。BNAは日系完成車メーカーなど向けに冷延、溶融亜鉛メッキ鋼板を製造・販売する。8月29日付で日鉄の出資持ち分の全てを宝山鋼鉄に譲渡予定で、譲渡額は17億5800万元(約380億円)。BNAには日鉄が50%、宝山鋼鉄が50%を出資している。
中国市場をめぐっては、主要取引先の一つである日系完成車メーカーが現地戦略の見直しを迫られている。中国政府の支援などを背景に地場の電気自動車(EV)メーカーが台頭する一方、日系メーカーの販売が低迷。日産自動車は現地で一部工場を閉鎖し、ホンダは人員削減を計画する。三菱自動車は同市場から撤退した。
日鉄は2年前から今後の合弁事業のあり方を宝山鋼鉄と協議していた。
日刊工業新聞 2024年07月24日