ディーゼルエンジン並み出力実現、アネブルが開発した「水素噴射系技術」の仕組み
アネブル(愛知県刈谷市、笠井嘉明社長)は、ディーゼルエンジンとほぼ同等のエンジン出力を実現する水素噴射系技術を開発した。燃焼室の外で水素ガスの燃焼が起こる「バックファイヤー」などの異常燃焼を抑制し、出力ロスを低減した。ディーゼルエンジンを水素エンジンに改造する環境省のプロジェクト向けに同技術を提供。独自の水素噴流噴射コンセプトを使った開発サービスも開始している。
独自開発の噴流パイプとポート噴射式インジェクターを組み合わせ、噴流パイプをバルブの近くに配置することで高速噴流を実現。レイアウトの工夫などによりバックファイヤーを抑制した。これらのコンセプトを使った開発サービスをエンジン試作向けに提供する。
アネブルは環境省が採択した「既販中型重量車の水素エンジン化事業性検証プロジェクト」に技術協力。ベースとなるディーゼルエンジンの部品を交換し、水素エンジン化する。
同プロジェクトではフラットフィールド(神奈川県厚木市)や東京都市大学などのグループが、現場で稼働している既販のトラックを水素エンジン車に改造する技術の開発に取り組んでいる。環境対応のほか、既存の車両を活用するため多額のコストがかからないメリットもある。
アネブルは自動車エンジン部品の試作品開発や品質評価を手がける。豊富な自社設備で耐久・機能・信頼性試験を実施できる。
日刊工業新聞 2024年07月23日