ニュースイッチ

データ送信距離は約10倍…コマツが開発、熱電発電センサーデバイスの機能

データ送信距離は約10倍…コマツが開発、熱電発電センサーデバイスの機能

500メートル先までデータ送信が可能な熱電発電センサー

コマツは500メートル先までデータ送信が可能な熱電発電センサーデバイスを開発した。帯域無線を従来の2・4ギガヘルツ(ギガは10億)帯から920メガヘルツ帯にしたことで送信距離を従来の約10倍に延伸できた。10月にも発売し、生産設備のモニタリング用途として提供する。送信距離が長いため、敷地面積が広い工場でも設置台数が少なくて済む。電池交換も不要で、工作機械など障害物が多い工場でも安定して稼働データを無線送信できる。

開発したのは子会社で電子部品の熱電素子を手がけるKELK(神奈川県平塚市)。データを素早く解析し故障予知に使える専用ソフトとセットで売り込む。5年後に年3億円の売り上げを目指し、鉄鋼や自動車、化学など大面積の工場を対象に拡販する。

開発した熱電発電センサーは工場内の生産設備のモーター部などに設置する。設備に設置した底面と、空気に接する上面の温度差が3度Cあれば発電しデータを送信できる。電池なしで作動するため、電池交換の手間を省略できる。センサーの外形寸法は縦63ミリ×横45ミリ×高さ25ミリメートル。

専用ソフトで生産設備の稼働データを測定し蓄積することで、故障の予兆を解析し検知できる。早めに対策を立てることで工場ラインの一部停止などの緊急事態を防止でき、安定稼働を通じて生産効率を高められる。

熱電発電センサーの稼働データ用管理ソフトは従来もあったが、クラウド対応のため、費用がかさむ傾向にあったという。今回のソフトは非クラウド環境で管理できるため、運用コストを低減できる。運用コストは使用期間が7年の場合、クラウド対応ソフトと比べて約5分の1まで下げられるとしている。

すでにコマツの粟津工場(石川県小松市)や大阪工場(大阪府枚方市)の設備モニタリングに使用し、問題なく利用できることを確認した。需要が大きいと判断し外販に踏み切る。


【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞 2024年07月23日

編集部のおすすめ