世界初の公開走行…カワサキが開発進める「水素エンジンバイク」の機能
カワサキモータース(兵庫県明石市、伊藤浩社長)は、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われた「鈴鹿8時間耐久ロードレース」で、開発中の水素エンジンバイクを量産メーカーとして世界で初めて公開走行した。レーシングコース約2キロメートルを走行。二酸化炭素(CO2)を排出しないため脱炭素に貢献するとともに、バイクの鼓動感をそのままに走りの楽しさを両立する。2030年初頭の発売を目指して開発を進めていく。
「Ninja H2SX」を基に、既存の技術や部品などを活用して開発した。過給器を搭載したエンジンを水素用に改良。水素はガソリンの5分の1の早さで燃焼できるため出力や燃費向上などに寄与し、力強い走りを実現する。
車体後部にトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」の水素タンク二つを適用。水素漏れ検知センサーや水素調節弁の制御装置などを搭載し、安全面に寄与する。
トヨタと国内2輪4社で構成する水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE)で研究を進めている。水素プロジェクト担当(社長付)の松田義基氏は「いち早く水素でもバイクを実現できると示すことで、業界全体のマインドセットを変えたい」と意気込む。水素を選択肢の一つとして脱炭素に貢献していく。
日刊工業新聞 2024年07月22日