半導体向けダイヤ基板好調…オーブレーが新中計、29年に東証プライムIPOへ
Orbray(オーブレー、東京都足立区、並木里也子社長)は18日、2025年―29年までの中期経営計画を発表し、29年に東京証券取引所プライム市場に新規株式公開(IPO)する方針を示した。パワー半導体向け人工ダイヤモンド基板など新事業が堅調で、公募による最大100億円の資金調達を目指す。成長投資を加速し、30年以降の事業拡大を確実にする。
新中計では29年に売上高400億円(24年見通しは251億円超)、営業利益50億円(同45億円超)の達成を目指す。人工ダイヤ基板のほかサファイア基板の加工、医療関連などを含めた新分野で150億円超の売り上げ増加を見込む。
40年には売上高800億円、営業利益100億円を計画する。同日開いた会見で並木社長は「世界屈指の精密加工技術に磨きをかけ、グローバル市場に訴求したい」と述べた。
25年からIPOに向けた事業計画の策定に着手する。29年前半にもIPOし、資金調達の多様化や財務体質の強化につなげる。IPO後もオーナーが過半の株式を所有し、オーナー経営を継続する。
このほか年率3・3%以上の賃上げを実現するなど従業員の待遇改善を進める。海外展開の加速や中小から大企業への成長を念頭に、海外戦略、デジタル変革(DX)などを専門に担う部署の新設、人材採用も行う。
秋田県湯沢市に予定する新工場建設計画の見直しも盛り込んだ。新工場の完成時期を当初予定の29年までから27年末に前倒しするほか、新工場に集約する予定だった、サファイア基板を加工する湯沢第二工場(秋田県湯沢市)と光通信部品を扱う横手工場(同横手市)を存続・活用する。
湯沢第二工場はサファイア基板やパワー半導体向け新素材の受注が伸びることから、30億円規模の増強投資を行うとともに他工場からサファイア基板の最終工程を移管し、一貫生産体制を構築する。横手工場はデータセンター向け部材や医療関連の生産を強化する。26年末をめどに東京から秋田に本社登記を移す計画は変更しない。
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