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1万ドル近辺乱高下…銅相場、高値圏で一進一退の要因

1万ドル近辺乱高下…銅相場、高値圏で一進一退の要因

銅は5月に国際相場で最高値を更新し、国内銅価格の指標となる電気銅建値も過去最高値を付けた

2024年に入り、銅の国際相場が乱高下している。年始にトン当たり8300ドル近辺だった相場は、5月に終値で同1万889ドルを付け過去最高を更新した。その後は同1万ドルに近づくと反落する値動きとなっている。銅は将来の需要増加期待が相場を支えるものの、長引く米国の高金利政策や中国の景況悪化懸念は相場の押し下げ要因で、市場関係者は今後も高値圏での一進一退が続くと予想している。

銅の生産・消費国で構成する国際銅研究会(ICSG)は、24年の銅需給において供給過剰分が当初発表時よりも減少すると公表。需給の引き締まり観測から、国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は、5月20日に約2年2カ月ぶりの過去最高値となった。6月初旬まで同1万ドル台を維持した後、投機筋による利益確定売りで値下がりした。その後も同1万ドルに近づくと反落する動きを繰り返し、国内の電気銅建値も一進一退となっている。

銅鉱石はチリが最大の生産国でペルーやコンゴ民主共和国が続くが、品位低下、干ばつによる水不足もあり供給が不安定という課題を抱える。一方、導電率の高い銅は電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連の設備、生成人工知能(AI)の普及によるデータセンターや送配電網の拡充で需要拡大が予測されている。

住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミストは「(供給量不足、需要増加という)明確なテーマ性が見つけやすく、投資家にとっても銅は買いやすい」と指摘。ただ「米国の金融緩和期待が先行して買われ、足元の同1万ドル近辺は高過ぎる印象」(本間氏)とみている。

世界最大の銅消費国の中国は、第2四半期(4―6月期)の実質国内総生産(GDP)が、前年同期比4・7%増で、第1四半期の同5・3%増から減速した。長引く不動産不況や厳しい雇用情勢による内需の停滞が浮き彫りとなった。「経済が発展してきたこれまでの20年と同じ量の銅を使うことにはならないし、今後も中国発の需要増加材料が出てくるとは期待しにくい。これらが相場を抑える要因となっている」(同)と説明する。

一方、銅鉱石は世界生産量のうちチリやコンゴ、ペルーで50%近くを占める。需要拡大予測に反して供給量拡大の余地は限られている。市場関係者は銅の代替素材が出てこなければ徐々に値上がりし、25年7―12月には高値同1万3000ドル、安値同8500ドル近辺と予想する。

日刊工業新聞 2024年07月18日

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