デンソーの新たな競争力に、AI活用してソフト強化
デンソーがソフトウエアの開発力を強化する。ソフトウエア定義車両(SDV)の普及やモビリティーが社会システムとつながることを見据え、ソフトの開発・実装・展開力を飛躍的に高めることを目指す。半導体の知見を活用してソフトのプログラムを自動最適化する技術の確立や、人工知能(AI)をソフトの開発や質の向上などに活用する取り組みを始めた。ソフトをデンソーの新たな競争力に位置付ける。
「デンソーのソフトがないと、モビリティー社会の未来は作れない。そんな存在を目指す」。同社の林田篤上席執行幹部は、ソフト戦略説明会でこう強調した。
目標に掲げてきた2030年にソフト人材1万8000人(現状比1・5倍)、35年に事業規模8000億円(同4倍)の具体的な道筋を示した。ソフト開発の効率化ではAIを積極的に活用。40年以上、車載システムの開発で培った知見をAIに学習させ、設計や工程作業を自動化する。また、ハードウエアに制約がある中でソフトを実装するため、人手による修正ではなく、自動で生成・最適化するツールを27年ごろに実装したい考えだ。
さらに、これまで部品ごとに搭載していたソフトをまとめて機能させる大規模統合電子制御ユニット(ECU)の普及をにらみ、デンソーのグローバル拠点やNTTデータなどが人材育成・技術向上の両面で連携。システム全体の設計を手がける「アーキテクト人材」などを拡充する。林田上席執行幹部は「ソフト人材の質・量がSDV時代の競争力を左右する」と取り組みの重要性を指摘した。
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日刊工業新聞 2024年07月15日