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コシヒカリで白未熟粒最大7割…農研機構、2100年の高温・高CO2環境で可能性

農業・食品産業技術総合研究機構の伊藤博紀上級研究員と米丸淳一ラボ長らは、地球温暖化が進んだ2100年の高温・高二酸化炭素(CO2)環境では水稲の生育が早まり、収穫量が35%減、品質悪化は85%増える可能性があることを明らかにした。今後、さまざまな作物・品種の環境応答を調べる。気候変動に対応した品種開発につなげる。

温度や湿度、CO2濃度などを制御できる栽培環境エミュレーターで21世紀末の生育環境を再現した。複数の気候変動シナリオを検証したところ、気温が4・5度C上昇し、CO2濃度が2・3倍の環境で生育が早まり、白未熟粒が増えた。

コシヒカリなど5品種の平均で穂の重量が35%減少した。白未熟粒が発生しやすいコシヒカリは基準年は0―8%だが、高温高CO2環境では白未熟粒が31―72%に増えた。

人工環境の再現性に限界はある。だが収量低下や品質悪化が数値で示され、気候変動対策への基礎データが得られた。高温高CO2環境で変化する遺伝子を特定できたため、対応品種の育成や栽培技術の開発を進める。

日刊工業新聞 2024年07月12日

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