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2人分の作業1人に…白山工業、狭所で重量物持ち上げる補助装置

2人分の作業1人に…白山工業、狭所で重量物持ち上げる補助装置

開発したクロコクレーンバランサー(白山工業提供)

白山工業(東京都府中市、吉田稔社長)極限環境ロボット研究所の西田莉那研究員と広瀬茂男所長らは、狭所で重量物を持ち上げる補助装置「クロコクレーンバランサー」を開発した。50キログラム程度の部品を空圧で持ち上げる。従来機よりも4分の1程度に小型軽量になった。2人分の作業を1人でできた。火力発電所などのインフラ保守に提案していく。

アーム式の重量補助装置を開発した。支柱に空圧シリンダーを内蔵して上下方向の力を支える。アームはパンタグラフ機構を採用した。手元の動きをアーム先端で大きく拡大できる。上下方向と横方向の動きを分け、操作性が向上した。

従来機は装置重量で130キログラムほどあり、大きかった。新装置は装置重量が35キログラムで、50キログラム程度の重量物を持ち上げられる。実験では2人がかりの作業を1人で実施できた。

用途は火力発電所で圧縮機の弁を交換する作業を想定する。メンテナンスの3日間で数十個を交換し、その間クレーン車を手配している。天候のために作業ができないと損失が大きかった。現場に入る小型装置がなかったが、新装置は狭い空間に設置できるため作業を分割して柔軟に実施しやすくなる。

発電所などの空圧配管が整備されている環境では電気的制御が要らない。ガス漏れなどの発火の危険性がある環境にも向く。今後、東京電力グループなどと実証を進め実用化していく。

日刊工業新聞 2024年07月12日

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